料金設計

WordPress保守の費用相場と料金表の作り方|個人・フリーランス向け3段プランの決め方

WordPressの保守を月額で受けたいけれど、いくらにすればいいか分からない。調べると「相場は月5千〜2万円」と出てくるものの、その中のどこに置けばいいのかが決められない。

この記事は、個人・フリーランスでWordPress保守を受ける人に向けて、費用相場の数字の扱い方と、3段の料金表を組み立てる手順をまとめたものです。時間単価からの計算例、「これより下げない」下限の決め方、インボイスで気をつける点まで扱います。

※税の部分は一般的な情報で、税務助言ではありません。自分の場合の扱いは、税理士や税務署に確認してください。

WordPress保守の費用相場は「月5千〜2万円が中心」の読み方

相場の数字は、業者の解説記事の値

WordPress保守の料金は、業者の解説記事では月3千〜5万円と幅があり、中心は5千〜2万円あたりとされています。公的な統計ではないので、目安として扱ってください。

同じ金額でも中身が違う

「保守 月1万円」と書いてあっても、含まれる作業はサービスによってまったく違います。

違いが出るところ 例
更新の頻度 月1回か、随時か
修正の上限 含まないのか、月1時間か、月4時間か
返信の速さ 3営業日以内か、当日か
報告の有無 なしか、メールで数行か、数字と提案つきか
トラブル時の扱い 一次対応だけか、復旧まで含むか

相場の金額だけを見て値段を決めると、作業の量と金額が合わなくなります。相場は、自分で計算した金額が大きく外れていないかを確かめる「最後の確認」に使います。

料金表を作る前に決める3つの数字

1. 時間単価

目標の月の収入を、月に働ける時間で割り、1.5〜2倍にします。営業や連絡、見積もりの時間はお金にならないので、そのぶんを上乗せしておく考え方です。たとえば月30万円を100時間で得たいなら1時間3,000円で、請求する単価は5,000〜6,000円になります。

2. 1件あたりの月の作業時間

更新、表示の確認、バックアップの確認、軽い修正、連絡のやりとりを足して、月に何時間かかるかを見積もります。慣れないうちは見積もりが甘くなるので、多めに置きます。

3. 下限:トラブル1回分を吸収できるか

いちばん大事なのが下限です。時間単価5,500円で計算すると、月5,000円は1時間に届きません。更新のあとに表示が崩れて2時間調べることになれば、その月は赤字です。

相場の下の端、月5千円で受けられるのは、更新だけで修正も報告も含まない、ごく狭い範囲に限られます。「この金額なら誠実に対応できる」という下限を、料金表を作る前に決めておきます。

3段の料金表を作る手順

月5千〜2万円の帯に、3段をどう置くか

1つの金額だけを出すと、相手は「高いか安いか」でしか判断できません。3段にすると、判断の軸が「どこまで任せるか」に変わります。

時間単価5,500円で計算した例です。金額はあくまで例なので、自分の単価と作業時間で置き換えてください。

段 想定の作業時間 中身の例 計算 月額の例(税別)
ライト 月1.5時間 更新(月1回)、バックアップと表示の確認、死活監視、軽い修正(月30分まで)、返信は3営業日以内 5,500円×1.5時間=8,250円 9,000円
スタンダード 月3時間 ライトの内容、修正(月1.5時間まで)、お知らせの投稿代行(月2回まで)、メールでの月次報告、返信は1営業日以内 5,500円×3時間=16,500円 18,000円
プロ 月6時間〜 スタンダードの内容、修正(月3時間まで)、数字をもとにした改善の提案、相談の窓口 5,500円×6時間=33,000円 35,000円〜

死活監視や問い合わせを待っている時間のぶん、計算より少し上に置いています。

この例では、ライトとスタンダードが相場の中心の帯に収まり、プロは帯を超えます。帯を超えること自体は問題ではありません。作業時間と中身で説明できれば、上の段は相場より高くてかまいません。

真ん中の段を主力にする

多くのお客様に勧める段は、真ん中に置きます。更新の代行と月次報告が入るので、「払っている価値」が毎月見える段です。上の段があることで「いずれ上げられる」という安心にもつながります。

段の差は「時間」と「速さ」でつける

段の違いを「安心」「充実」のような言葉だけで書くと、選ぶ根拠になりません。修正の上限時間、投稿代行の回数、返信の速さ、報告の中身といった、数えられるもので差をつけます。

各段に「含まないもの」を書く

デザインの変更、ページの追加、原稿の作成、上限を超えた分、使わなかった時間の繰り越しは含まない、と各段に書きます。料金表は値段の表であると同時に、線を引く表です。

「含まないもの」や範囲外の作業を契約書でどう書くかは「WordPress保守契約書に入れる条項チェックリスト」で扱っています。

相場から外れたときの調整のしかた

安くしたいときは、値段ではなく範囲を削る

「もう少し安くならないか」と言われたら、同じ中身のまま値段を下げるのではなく、修正の枠を外す、返信の期限を延ばすなど、範囲を削った段を提案します。値段だけを下げると、作業量はそのままで単価が下がります。

既存のサイトを引き継ぐときは、初期費用を分ける

他の人が作ったサイトや、更新が長く止まっていたサイトは、最初の1か月に作業が集中します。現状の確認、バックアップの整備、止まっていた更新の解消は「初期費用」として月額と分け、見積書でも別の行にします。

初期費用と月額を分けた見積書の書き方は「Web制作の見積書テンプレートと項目」にまとめています。

高いと言われたら、作業時間の記録を見せる

実際にかかった作業時間を毎月記録しておくと、「この3か月は毎月これだけ作業しています」と根拠を示せます。記録は、段を上げる提案をするときにも使えます。

料金表に書く税とインボイスの扱い

税別か税込かを必ず書く

料金表と見積書には、税別か税込かをはっきり書きます。月額の契約は毎月請求が続くので、最初の行き違いがずっと残ります。

免税事業者のまま受ける場合

インボイス登録をしない免税事業者から仕入れた場合、取引先が控除できる割合は、2026年10月1日から80%から70%に下がりました。2028年10月からは50%、2030年10月からは30%になり、2031年10月以後は控除できません(国税庁「令和8年度税制改正特集」)。

たとえば税込11,000円の保守料なら、消費税相当の1,000円のうち、取引先が控除できるのは700円です。取引先が事業者の場合、この差が価格の話し合いのきっかけになることがあります。登録するかどうかを決めたら、見積書の段階で伝えておきます。

料金表は3か月ごとに見直す

最初の料金表は仮のものです。作業時間を毎月記録し、3か月ごとに単価と時間の見積もりを見直します。作業の範囲や金額を変えるときは、1か月前にお客様へ伝えて相談します。

開業届やインボイス登録の期限も含めて独立の準備を確認したい方は、無料の独立準備チェックリストを使ってください。3段の料金表の雛形と、見積書・契約書のひな形をまとめて使いたい方には、記事の下で紹介している保守契約スターターキットを用意しています。

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