Webサイトを納品すると、お客様との関係もそこで終わってしまう。毎回ゼロから次の仕事を探していて、収入の見通しが立たない。
この記事は、Web制作を受けている個人・フリーランスに向けて、単発の仕事が継続にならない理由、保守・改善の定期枠・定期レポートで継続にする型、そして継続の仕事を守るための断り方を、文例つきでまとめたものです。文例は【 】を書き換えて使えます。
次の仕事は「すでに知っている相手」から来やすい
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の「フリーランス白書2026」(2025年11月のオンライン調査、集計対象1,426人)では、仕事を見つける経路(複数回答)は「人脈(知人の紹介含む)」68.3%、「過去・現在の取引先」58.3%でした。最も収入が得られる仕事の経路(単一回答)でも、「人脈」32.3%、「過去・現在の取引先」29.3%です。
フリーランス全体の調査で、Web制作だけの数字ではありません。それでも、一度仕事をした相手との関係を続けることが、次の仕事につながりやすいことは読み取れます。
単発で終わる5つの理由
- 見積書と契約書に、納品後の項目がない。納品した時点で、取引が終わる形になっている
- 納品の後に、こちらから連絡する理由がない
- お客様が、次に何を頼めるのかを知らない
- 受付の方法、対応の時間、料金が決まっておらず、頼みにくい
- 受けきれない量の仕事を受けて、納期や品質が落ちる
1〜4は、仕組みで解決できます。5は、断ることで防ぎます。
継続にする3つの型
| 型 | 中身 | 向いている相手 |
|---|---|---|
| 保守(見守り) | 毎月の更新、バックアップの確認、表示の確認 | 自分でWordPressを更新する時間がない |
| 改善の定期枠 | 毎月【○】時間までの修正・追加 | お知らせやページの追加が定期的にある |
| 定期レポートと見直し | 月次報告と、3か月ごとの振り返り | 問い合わせを増やしたい、数字を見たい |
型1:保守
いちばん始めやすいのは、WordPressの更新と見守りを月額で受ける形です。毎月の作業の中身は「WordPress保守で毎月やること一覧」、料金の決め方は「WordPress保守の費用相場と料金表の作り方」にまとめています。
型2:改善の定期枠
「毎月2時間までの修正」のように、時間で枠を決めます。決めておくことは次の3つです。
- 枠に含む作業(文章や画像の差し替え、ページの追加など)と、含まない作業
- 使わなかった時間を翌月に繰り越すか
- 枠を超えるときは、作業の前に見積りを出して了承を得ること
型3:定期レポートと見直し
毎月の報告で作業を見える形にし、3か月ごとに振り返りの時間をもらいます。報告書の書き方は「保守の月次報告書の書き方」で紹介しています。振り返りでは、次にやるとよい改善を1つだけ提案します。
単発の仕事を継続につなげる流れ
| 時期 | やること |
|---|---|
| 見積の段階 | 初期費用の下に、保守の月額を並べて書く |
| 納品のとき | 更新の手順と、月額で受けられることを案内する |
| 公開から1か月 | 困っていることがないかを聞く |
| 3か月ごと | 振り返りと、改善の提案を1つ |
見積書の書き方は「Web制作の見積書テンプレートと項目」、納品後の提案の文面と断られたときの返し方は「納品の後に保守を提案する文面と、断られたときの返し方」に書いています。
改善提案は「1回に1つ・根拠つき・判断はお客様」
提案が多いと、お客様は選べません。1回に1つにして、なぜそれを勧めるのか、費用と時間はどのくらいかを添えます。
【相手の名前】様
3か月の振り返りとして、ひとつご提案があります。
お問い合わせページへの入口が、スマホではページのいちばん下にしかありません。
【確認した内容:例)この3か月の訪問のうち、スマホからが【○】割でした】。
各ページの途中にも入口のボタンを置くと、見つけてもらいやすくなります。
作業は【○】時間ほどで、改善の枠の中で対応できます。
進めるかどうかは、ご都合に合わせてご判断ください。
数字を書くときは、実際に確認した値だけを使います。
継続の仕事を守るために、断る
断らずにすべて受けると、既存のお客様への対応が遅れ、継続の仕事から失っていきます。先に断る基準を決めておくと、迷う時間が減ります。
| こんな依頼 | 対応 |
|---|---|
| 既存のお客様の作業と納期が重なる | 時期をずらせるか相談する。ずらせなければ断る |
| 予算が自分の下限を下回る | 範囲を絞った案を出す。合わなければ断る |
| 専門外(例:広告の運用、動画の制作) | 断る。知っている人がいれば紹介する |
| 月額の範囲外の作業を、月額の中で求められる | 別途の見積りを出す |
| 作業の範囲や支払いの条件を示してもらえない | 条件がそろうまで着手しない |
断るときの3つの原則
- 早く返す。返事を待たせるほど、相手の予定が立たなくなる
- 理由は短く、事実だけを書く
- 代わりの案を1つ添える(時期をずらす、範囲を絞る、別の人を紹介する)
文例1:手が空いていないとき
【相手の名前】様
ご相談ありがとうございます。
あいにく【月】月中は、すでにお引き受けしている作業で予定が埋まっており、
ご希望の【日付】までの公開には対応できません。
【月】月【日】以降の着手でよろしければ、お引き受けできます。
お急ぎの場合は、今回は見送っていただいて構いません。
文例2:予算が合わないとき
ご予算【○○】円の範囲では、ご希望の内容すべてをお引き受けするのが難しい状況です。
トップページと【お問い合わせ】の2ページに絞る形であれば、ご予算内で対応できます。
残りのページは、公開後に改善の枠で順に追加していく方法もあります。
文例3:専門外のとき
【広告の運用】は、私の専門外のため、お引き受けしておりません。
中途半端にお引き受けするより、専門の方にお願いするほうが良い結果になると考えています。
サイト側の修正が必要になった際は、いつでもご相談ください。
文例4:月額の範囲外の依頼
ご依頼の【採用ページの新規作成】は、月額の保守に含まれる範囲を超える作業のため、
別途お見積りをお送りします。内容をご確認いただいてから着手します。
断った相手から、時期を変えて、また相談が来ることもあります。断るときも、相手が戻ってこられる道を残しておきます。
出典(確認日:2026年10月29日)
- 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2026」 https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2026/06/FreelanceSurvey2026-3.pdf
保守の3段メニューと月次報告の雛形は、記事の下で紹介している保守契約スターターキットにまとめています。独立の前後でやる手続きを確認したい方は、無料の独立準備チェックリストもあわせて使ってください。