保守の実務

保守を始めるときのサーバー選び|お客様のサーバーの見方と、勧めるときの比べ方

WordPressの保守を受けると、最初にぶつかるのがサーバーです。お客様がすでに使っているサーバーをどう確かめるか。新しく契約する、あるいは移転するときに、何を基準に勧めるか。

この記事は、個人やフリーランスでWordPress保守を受ける人に向けて、その2つを順番に整理したものです。料金や機能は、2026年10月26日に各社の公式ページで確認した内容です。料金はキャンペーンなどで変わるため、契約の前に必ず公式ページで確かめてください。

保守を受ける前に、お客様のサーバーで確かめる5つ

契約者(名義)

サーバーとドメインを「誰の名義で」「誰の支払いで」契約しているかを確かめます。前の制作会社の名義のままになっていると、解約・移転・更新のたびに、その会社の協力が必要になります。名義と支払いの変更は、保守を始める前に済ませておくのが安全です。

更新時期と支払い方法

サーバーとドメインの更新日、自動更新の設定、支払い方法(カードの有効期限を含む)を一覧にしておきます。更新を忘れるとサイトもメールも止まります。保守の月次報告に「次の更新日」を毎回書いておくと、更新の漏れを防げます。

PHPのバージョン

WordPressの管理画面の「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」で、使っているPHPのバージョンを確認できます。WordPress公式の推奨環境は「PHP 8.3以上」「MariaDB 10.11以上 または MySQL 8.0以上」「HTTPS対応」です。古いPHPのまま止まっているサイトは、テーマやプラグインがPHPの更新を妨げていることが多いので、更新の前に複製環境で試します。

バックアップ

サーバーの自動バックアップがあるか、何日分残るか、自分で復元できるか(有料の依頼が必要か)を確かめます。プランによっては自動バックアップが付いていないこともあります(下の比較表を参照)。サーバーのバックアップだけに頼らず、プラグインなどで別の場所にも残しておくと、サーバー側の障害にも備えられます。

毎月のバックアップの確認のしかたは「WordPress保守で毎月やること一覧」にまとめています。

SSHとWP-CLI

SSH(コマンドでサーバーを操作する仕組み)は、プランによって使えるかどうかが違います。SSHが使えると、ファイルの一括確認や、WP-CLI(WordPressをコマンドで操作する道具)での更新・調査ができ、保守の手間が大きく減ります。WP-CLIが使えるかどうかは、今回確認した各社の公式ページでは明記を見つけられませんでした。SSHで接続して wp --info と入力し、応答があるかで確かめてください。

あわせて、メールが同じサーバーにあるかも確認します。移転のときにメールの移行と切り替えの順番を考える必要があるためです。

新規契約や移転で勧めるときの比べ方

  1. 2年目以降の料金で比べる:各社の表示価格はキャンペーンや長期一括払いの割引で変わります。契約期間分の一括前払いの会社や、途中で解約できない料金タイプもあります。お客様には「更新したときにいくらになるか」を見せます。
  2. 自動バックアップの日数と復元のしかた:何日分残るか、復元を自分でできるか。
  3. SSHが使えるプランか:保守のしやすさが大きく変わります。
  4. 移行の手段:他社からWordPressを移す機能があるか。
  5. 契約はお客様の名義で:保守をする側の名義で契約すると、保守をやめるときに移管が必要になります。

主なサーバーの比較(2026年10月26日時点・公式ページで確認した範囲)

サービス(プラン例) 12か月契約の料金 自動バックアップ SSH PHP 移行の機能
エックスサーバー(スタンダード) 月1,100円(通常価格)。税込・契約期間分の一括前払い 毎日。Web・メール・データベースとも過去14日分 使える(公開鍵認証のみ) PHP8/PHP7/PHP5 WordPress簡単移行
ConoHa WING(ベーシック) WINGパック12ヶ月の通常価格は確認できず(料金ページにはキャンペーン価格だけが出ている)。時間課金の「通常料金」は1時間2.5円・月最大1,452円。税込 1日1回、過去14日分(Web・メール・データベース) 使える PHP8/PHP7(機能ページでは7.0〜8.4) WordPressかんたん移行
さくらのレンタルサーバ(スタンダード) 12ヶ月一括6,600円(月額換算550円)。税込 バックアップ&ステージング(無料・最大8世代) 使える PHP5/7/8 移行ツールの記載は確認できず
ロリポップ!(ハイスピード) 月1,045円(スタンダードは月957円)。税込・税抜の表記は料金ページで確認できず 無料(復元データの提供も無料) 使える 対応バージョンは確認できず WordPress簡単引っ越し

各社の公式サイト:エックスサーバー / ConoHa WING / さくらのレンタルサーバ / ロリポップ!

表の補足:

  • キャンペーン価格は期限つきで変わるため、表には通常価格を載せています。2026年10月26日時点では、エックスサーバーが2026年11月4日17時までのキャンペーン(スタンダード12か月で月990円)、ConoHa WINGが2026年11月5日16時までの新規申込みのキャンペーン(WINGパック12ヶ月で月970円)を出していました。
  • エックスサーバーで複数人がサーバーを管理する「管理者ユーザー設定」は、料金ページの比較表ではビジネスプランのみ対応です。
  • ConoHa WINGのWINGパックは、契約期間中の途中解約ができず、契約期間分の一括前払いです。
  • さくらのライトプランは、機能差分表でWordPress・SSH・バックアップ&ステージングの対象外です。WordPressの保守ならスタンダード以上が前提になります。バックアップ&ステージングは、お試し期間中は使えません。
  • ロリポップ!のライトプランは、SSHと自動バックアップが「-」(対象外)です。スタンダードは、SSHは使えますが自動バックアップは対象外です。7世代バックアップの有料オプションは全プランにあります。

お客様にサーバーを勧めるときに気をつけること

あなたがアフィリエイトリンク(紹介すると報酬が入るリンク)でお客様にサーバーを勧める場合は、「紹介すると自分に報酬が入る」ことをお客様に伝えてください。保守は長いお付き合いになるので、あとから知られて信頼を失うのがいちばん損です。

勧めるときは「どこが最適か」を言い切るより、上の5つの軸でお客様の条件(予算、メールを同じサーバーで使うか、更新や復元を誰がやるか)に合うものを2〜3社並べて、お客様に選んでもらう方が、あとで揉めません。

確認できなかったこと

  • 各社の WP-CLI の対応(公式ページで明記を見つけられなかったため、SSH接続後に wp --info で確認)
  • ConoHa WING のキャンペーン外の WINGパック料金
  • ロリポップ!の料金表示が税込か税抜か、PHPの対応バージョン(料金ページには「LiteSpeed版」などの方式だけが書かれている)
  • さくらのレンタルサーバの、他社から WordPress を移す機能(乗り換え手順の案内ページはある)

出典(確認日:2026年10月26日)

  • WordPress.org「Requirements」 https://wordpress.org/about/requirements/
  • エックスサーバー「料金」 https://www.xserver.ne.jp/price/
  • エックスサーバー「機能一覧」 https://www.xserver.ne.jp/functions/
  • エックスサーバー「SSH設定」 https://www.xserver.ne.jp/manual/man_server_ssh.php
  • ConoHa WING「料金」 https://www.conoha.jp/wing/pricing/
  • ConoHa WING「機能」 https://www.conoha.jp/wing/function/
  • さくらのレンタルサーバ「料金・プラン」 https://rs.sakura.ad.jp/plan/
  • さくらのレンタルサーバ「スタンダードプラン」 https://rs.sakura.ad.jp/plan/standard/
  • さくらのレンタルサーバ「機能一覧」 https://rs.sakura.ad.jp/function/
  • さくらのレンタルサーバ「バックアップ&ステージング」 https://rs.sakura.ad.jp/function/backup-staging/
  • ロリポップ!「ご利用料金」 https://lolipop.jp/pricing/

保守の契約そのものの進め方(声のかけ方、料金表、契約書、月次報告)は、記事の下で紹介している保守契約スターターキットにまとめています。独立の前後の手続きもあわせて確かめたい方は、無料の独立準備チェックリストを使ってください。

関連記事