保守の実務

WordPress保守で毎月やること一覧|月次作業チェックリスト(バックアップ・更新・表示確認・フォーム・セキュリティ・報告)

WordPressの保守を月額で受けることになった、または受けようとしている。けれど「毎月なにを、どの順番でやればいいのか」が自分の中で固まっていない。

この記事は、個人・フリーランスでWordPress保守を受ける人に向けて、毎月の作業を順番どおりに並べたものです。バックアップの確認から、更新、表示の確認、フォームの動作確認、セキュリティ、記録と報告まで、何を見て何を記録するかをまとめました。最後に、そのままコピーして使えるチェックリストを置いています。

WordPress保守の内容は「止めない・壊さない・知らせる」

保守の作業は数が多いのですが、目的は3つにまとまります。

  • 止めない:サイトが表示され、問い合わせが届く状態を保つ
  • 壊さない:更新や修正で不具合を出さない。出しても元に戻せるようにしておく
  • 知らせる:やったことと気づいたことを、お客様に伝える

順番を入れ替えると、「更新したあとでバックアップが取れていなかったと気づく」といった事故が起きます。

毎月やる作業の一覧

順番 作業 何を見るか 記録すること
1 バックアップの確認 直近のバックアップが取れているか、保管している期間 確認した日、最新のバックアップの日付
2 更新の下調べ 更新が出ている本体・プラグイン・テーマと、その内容 更新するもの、見送るものと理由
3 更新 本体・プラグイン・テーマを更新する 更新した件数と、前後のバージョン
4 表示の確認 主なページをパソコンとスマホで開く 確認したページ、気づいたこと
5 フォームの動作確認 テスト送信が届くか、自動返信が出るか 送信した日時、届いたかどうか
6 セキュリティの確認 ユーザー、ログインの状況、通信の暗号化の期限 気になる点の有無
7 記録と報告 1〜6の結果と、作業時間 月次報告として送る

ここから、順番に中身を見ていきます。

1. バックアップの確認:「取れている」と「戻せる」は別

最初にやるのは、バックアップが取れているかの確認です。WordPressの公式ドキュメントも、更新を始める前にサイトのバックアップを取っておくことを勧めています(WordPress.org「Updating WordPress」)。

  • 自動バックアップが止まっていないか、最新の日付を見る
  • 何日分(何世代)を保管しているかを確かめる。契約書に書いた保管期間と合っているか
  • ファイルとデータベースの両方が含まれているか

バックアップは「ファイルがある」だけでは安心できません。実際に戻せるかどうかは、復元してみないと分からないからです。復元の練習は毎月でなくてもよいので、下の「四半期・年1回でやること」に入れておきます。

2〜3. 更新:下調べをしてから、1つずつ

更新の前に見ること

更新ボタンを押す前に、管理画面の「更新」画面で、何に更新が出ているかを確かめます。

  • 大きなバージョンアップ(機能が変わる更新)か、不具合や安全性の修正か
  • プラグインの説明に、使っているWordPressやPHPのバージョンへの対応が書かれているか
  • フォーム、予約、決済など、止まると困る機能のプラグインが含まれているか

止まると困る機能のプラグインに大きな更新が出ているときは、すぐに本番で更新せず、テスト用の環境で試すか、お客様に一言伝えてから行います。

更新の順番

  1. バックアップが最新であることを確かめる
  2. プラグインを1つずつ更新し、そのつど表示を確かめる
  3. テーマを更新する(テーマのファイルを直接書き換えていないか、先に確認する)
  4. WordPress本体を更新する

プラグインをまとめて更新すると、表示が崩れたときにどれが原因かが分からなくなります。手間でも1つずつが安全です。なお、WordPressの小さな更新(安全性の修正など)は、多くのサイトで自動で適用されます(同ドキュメント)。自動で更新されたものも、記録には残します。

4. 表示の確認:見るページを決めておく

更新のあとは、決まったページを開いて表示を確かめます。毎回その場で選ぶと確認が甘くなるので、お客様ごとに「確認するページの一覧」を作っておきます。

  • トップページ
  • お問い合わせページ
  • アクセスや料金など、お客様がよく見られるページ
  • お知らせやブログの一覧と、記事のページ1つ

それぞれパソコンとスマホの両方で開き、メニューが開くか、画像が表示されるか、レイアウトが崩れていないかを見ます。キャッシュ(保存された古い表示)が残っていると、崩れに気づけないことがあるので、キャッシュを削除してから確認します。

5. フォームの動作確認:実際に送ってみる

お問い合わせフォームは、表示されていても届いていないことがあります。見た目では分からないので、毎月テスト送信をします。

  • テスト送信をして、お客様の受信先に届くか(迷惑メールに入っていないか)
  • 自動返信メールが送信者に届くか
  • 送信後の完了画面が表示されるか

テスト送信をするときは、件名に「テスト送信(保守作業)」と入れることを、お客様と事前に決めておきます。お客様が本物の問い合わせと見分けられるようにするためです。

6. セキュリティの確認

IPA(情報処理推進機構)の「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条」には、不要なアカウントが登録されていないか、推測されやすいパスワードを使っていないか、通信の暗号化はできているか、不正ログインの対策はできているか、といった確認項目が並んでいます。保守で毎月見るのは、そのうち管理画面から確かめられるものです。

確認すること 見る場所の例
知らない管理者アカウントや、退職した人のアカウントが残っていないか 管理画面の「ユーザー」
使っていないプラグインやテーマが残っていないか 「プラグイン」「外観 → テーマ」
不正ログインの試みが増えていないか セキュリティ系プラグインやサーバーのログ
アドレス欄の鍵マーク(通信の暗号化)の期限が近づいていないか ブラウザの表示、サーバーの管理画面
サーバーのPHPのバージョン サーバーの管理画面

使っていないプラグインは、停止しているだけでもファイルは残ります。削除してよいかをお客様に確かめてから消します。PHPのバージョンは、WordPress公式の動作環境のページに推奨の版が書かれています(2026年10月26日時点の表記は「PHP 8.3以上」)。古い版のままなら、すぐに切り替えず、テストの計画を立てて提案します。

7. 記録と報告

1〜6の結果は、作業をしたその日に記録します。月末にまとめて思い出そうとすると、日付や件数があいまいになります。記録しておくのは、作業日、更新した件数とバージョン、確認したページ、フォームのテスト送信の結果、気づいたこと、使った作業時間です。

この記録が、そのまま月次報告の材料になります。報告の書き方とテンプレートは「保守の月次報告書の書き方」の記事にまとめています。

関連:保守の月次報告書の書き方

毎月ではなく、四半期・年1回でやること

頻度 作業
3か月に1回 バックアップからテスト用の環境に戻してみる(復元の練習)
3か月に1回 作業時間の記録を見て、プランの中身と料金が合っているかを見直す
年1回 サーバーとドメインの契約の更新日、名義、支払い方法をお客様と確認する
年1回 ユーザーとプラグインの棚卸し。使っていないものを整理する
年1回 PHPのバージョンと、テーマ・主なプラグインの対応状況を確認する

コピーして使える月次チェックリスト

【  年  月】【サイト名】 月次保守チェックリスト

□ バックアップ:最新【  月  日】/保管【  】日分/ファイルとデータベースの両方
□ 更新の下調べ:更新が出ているもの【  】件、見送るもの【  】(理由:  )
□ プラグインを1つずつ更新し、そのつど表示を確認した
□ テーマの更新(直接の書き換えがないことを確認)
□ WordPress本体の更新(自動で更新されたものも記録)
□ キャッシュを削除してから表示を確認:トップ/お問い合わせ/【  】/【  】(PC・スマホ)
□ フォームのテスト送信:送信【  時  分】、受信先に届いた/自動返信が届いた
□ ユーザー一覧に不要なアカウントがない
□ 使っていないプラグイン・テーマの有無
□ 不正ログインの試みの増減
□ 通信の暗号化(鍵マーク)の期限:【  月  日】
□ 作業時間:【  時間  分】(プランの上限【  時間】)
□ 月次報告を送った:【  月  日】

【 】の部分を書き換えて、お客様ごとに1枚ずつ使ってください。

出典(確認日:2026年10月26日)

  • WordPress.org「Updating WordPress」 https://wordpress.org/documentation/article/updating-wordpress/
  • WordPress.org「Requirements」 https://wordpress.org/about/requirements/
  • IPA「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条 〜セキュリティ対策のチェックポイント〜」 https://www.ipa.go.jp/security/vuln/websecurity/sitecheck.html

保守を始める前の契約や独立の手続きも含めて確認したい方は、無料の独立準備チェックリストを使ってください。毎月の作業を含めた3段の保守メニューと月次報告の雛形は、記事の下で紹介している保守契約スターターキットに入っています。

関連記事