独立準備

開業届と会計ソフトの選び方|2026〜2027年の制度改正に合わせた期限と比べ方

Web制作で独立するときの税務の手続きは、出す書類そのものより「期限」でつまずきます。しかも2026年から開業届の期限が変わり、2027年分からは青色申告の控除の区分も変わります。

この記事は、Web制作で独立する人に向けて、先に手続きの期限をおさえ、そのうえで会計ソフトを選ぶ順番で整理したものです。

※この記事は、2026年10月26日時点で国税庁と各社の公式ページを確認してまとめた一般的な情報で、税務助言ではありません。自分の場合にどうなるかは、税務署や税理士に確認してください。

先に期限をおさえる

手続き 期限 注意
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書) 開業した年分の確定申告期限まで(2026年1月1日以後の開業) 以前は「開業から1か月以内」でした。古い期限のまま書かれた解説や案内もあります
青色申告承認申請書 1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内。1月1日〜15日に開業した場合や、すでに事業をしていて翌年から青色にしたい場合は、その年の3月15日まで 期限を過ぎると、その年は青色申告ができません。こちらの期限は短いままです
インボイスの登録申請(登録する場合) 開業した年の12月31日まで(土日・祝日でも延びません) 新たに事業を始めた個人は、その年の1月1日にさかのぼって登録を受けられる特例があります。会社員のうちから副業で売上がある場合は「新たに事業を開始した」に当たらないことがあります
所得税の確定申告 翌年3月15日まで(2026年分は2027年3月15日) 青色申告特別控除の55万円・65万円は、期限内の申告が条件です
消費税の確定申告(登録した場合) 翌年3月31日まで 2割特例は2026年分まで。2027年分・2028年分は個人事業者向けの3割特例が新設されました

開業届は法律上の期限が延びましたが、青色申告承認申請書と一緒に早めに出しておくと手続きの漏れを防げます。

副業ですでに収入がある人の開業届のタイミングは「副業のWeb制作、開業届はいつ出す?」で整理しています。

2027年分から、会計ソフトは「e-Tax前提」で選ぶ

2027年分から、青色申告特別控除は次の区分に変わります。

  • 複式簿記+e-Taxで申告:65万円
  • さらに「優良な電子帳簿」か「デジタルシームレス保存」の要件を満たし、届出書を出す:75万円
  • 紙で申告した場合:上限10万円

紙の申告とe-Taxの差は55万円以上になります。会計ソフトは、複式簿記の帳簿を作れて、e-Taxで申告まで進められるものを選ぶのが前提です。

75万円控除の「優良な電子帳簿」とデジタルシームレス保存の要件は「青色申告の75万円控除はいつから?」で詳しく整理しています。

開業届を無料で作れるサービス

サービス 料金 公式ページで確認できたこと
freee開業 無料 登録から書類の作成、提出まで無料。開業届・青色申告承認申請書など5種類の書類を作成できる。オンライン提出(電子申告)にはマイナンバーカードが必要。インボイスの登録申請は別サービスの案内
マネーフォワード クラウド開業届 0円 開業届や青色申告承認申請書など最大5つの書類を作成できる。オンライン提出(電子申告)には、同社の確定申告アプリとマイナンバーカードが必要
弥生のかんたん開業届 無料 開業届・青色申告承認申請書・給与支払事務所等の届出書を作成できる。提出は郵送か税務署への持参。インボイスの登録申請書は対象外
国税庁(e-Tax・書面) 無料 e-Taxソフトで作成・提出できるほか、様式(PDF)で作成して持参・送付もできる

どのサービスを使っても、出す書類と期限は同じです。サービスの案内ページの中には、開業届の期限を以前の「1か月以内」のまま書いているものもあったため、期限は上の表(国税庁の情報)で確認してください。

会計ソフト3社の料金(個人事業主向け)

ソフト 主なプランと料金 消費税の申告 無料で試せる範囲
freee会計 スターター:年払い11,760円(月980円)/月払い1,780円。スタンダード:年払い23,760円(月1,980円)/月払い2,980円。税抜 スタンダード以上 「今なら30日間無料でお試し可能」との表示(期限の記載なし)
マネーフォワード クラウド確定申告 パーソナルミニ:年払い10,800円(月900円)/月払い1,280円。パーソナル:年払い15,360円(月1,280円)/月払い1,680円。税抜。2026年12月1日に料金改定(下記) パーソナル以上(ミニは不可) 1か月の無料トライアル(1事業者1回。有料プランに自動では移行しない)
やよいの青色申告 オンライン セルフプラン:年額11,800円。ベーシックプラン:年額22,800円。税抜。どちらも初年度0円のキャンペーン中(2027年3月15日までの申込み分) 全プラン(機能は全プラン同じで、違いはサポートの範囲) 初年度0円のほか、一部機能を最大2か月試せる無料体験プラン(決算・申告機能は使えない)

表の補足:

  • マネーフォワード クラウド確定申告は、2026年12月1日に個人向けプランの料金を改定すると発表しています(税抜)。パーソナルは月払い1,680円→2,880円、年払い15,360円→22,560円。パーソナルミニは月払い1,280円→1,680円で、年払い10,800円は据え置きです。すでに契約している人は、12月1日以後の更新から新しい料金になります。
  • 弥生の初年度0円は1事業者につき1回で、申し込みには自動更新のための口座振替かクレジットカードの登録が必要です。2年目からは表の年額がかかります。

白色申告なら、弥生の「やよいの白色申告 オンライン」にすべての機能をずっと無料で使えるフリープランがあります。ただし青色申告特別控除は受けられません。

選び方の軸

  1. インボイス登録をするか:登録するなら消費税の申告が必要です。freeeはスタンダード以上、マネーフォワードはパーソナル以上を選ぶことになります。
  2. 75万円の控除を狙うか:3社とも、JIIMA(日本文書情報マネジメント協会)の「電子帳簿ソフト法的要件認証」の製品一覧に載っています(2026年10月16日現在)。弥生は、2027年分からの75万円の要件のうち「優良な電子帳簿」に対応していると案内しています。ただし、ソフトを使うだけで75万円になるわけではありません。要件どおりに帳簿を保存し、e-Taxで期限内に申告し、確定申告期限までに届出書を出す必要があります。
  3. 2年目以降の料金で比べる:初年度無料や割引は1年目だけのことが多いので、2年目以降に毎年払う額で比べます。マネーフォワードは2026年12月1日の改定後の料金で比べてください。
  4. 操作を誰に聞けるか:年払いの安いプランは、問い合わせの手段が限られることがあります(弥生のセルフプランはWebのFAQのみ)。
  5. まず試す:freeeの30日、マネーフォワードの1か月、弥生の初年度0円を使って、銀行やカードの明細を取り込み、操作感を比べてから決めます。

確認できなかったこと

  • freee のお試し期間(「今なら30日間」)がいつまで続くか
  • マネーフォワード クラウド確定申告の料金改定が、2026年12月1日以後に新しく契約する場合にいつから適用されるか(お知らせでは既存の契約の更新時期を中心に案内している)
  • freee・マネーフォワードが「75万円控除の優良な電子帳簿」への対応として、どのプランで何を設定すればよいか(JIIMA の認証製品一覧に載っていることまでは確認)

出典(確認日:2026年10月26日)

  • 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
  • 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
  • 国税庁「新規開業者向けページ」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_sinkijigyousha.htm
  • 国税庁「令和8年度税制改正特集」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm
  • 国税庁「75万円の青色申告特別控除を適用しましょう」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/0026007-003_02.pdf
  • freee開業 https://www.freee.co.jp/personal-business/opening/
  • マネーフォワード クラウド開業届 https://biz.moneyforward.com/starting-business/
  • 弥生のかんたん開業届 https://www.yayoi-kk.co.jp/kigyo/starting/
  • freee会計「料金プラン」 https://www.freee.co.jp/personal-business/accounting/pricing/
  • マネーフォワード クラウド確定申告「料金・プラン」 https://biz.moneyforward.com/tax_return/price/
  • マネーフォワード クラウド「料金改定のお知らせ」 https://biz.moneyforward.com/support/plan/news/20260924.html
  • やよいの青色申告 オンライン「料金」 https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/aoiroshinkoku/price/
  • やよいの白色申告 オンライン「料金」 https://www.yayoi-kk.co.jp/shinkoku/shiroiroshinkoku/price/
  • JIIMA「電子帳簿ソフト法的要件認証製品一覧」 https://www.jiima.or.jp/certification/denshichoubo_software/list/

独立前後にやることの全体(健康保険・年金・住民税・契約の基本まで)は、期限つきの一覧にした無料の独立準備チェックリストにまとめています。開業日を決めたら、期限を書き写すところから始めてください。

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