独立準備

会社を辞めてフリーランスになる手続き|国保14日・任意継続20日・国民年金・初年度の住民税・失業給付の受給期間の特例

退職日が決まった。Web制作で独立するつもりだけれど、健康保険や年金の手続きを、いつまでに、どこでするのかがはっきりしない。

この記事は、会社を辞めてフリーランスになる人に向けて、退職の前後にやる手続き(健康保険・国民年金・住民税・失業給付の受給期間の特例)を期限の順に整理したものです。開業届と青色申告の期限は「副業のWeb制作、開業届はいつ出す?」で扱っているので、ここでは触れません。

※この記事は2026年10月29日時点で一次資料を確認した一般的な情報で、税務・社会保険・法的な助言ではありません。自分の場合は、市区町村・年金事務所・加入している健康保険・ハローワーク・税理士などに確認してください。

先に要点

  • 健康保険は国民健康保険(14日以内)・任意継続(20日以内)・家族の扶養から選ぶ。どれが安いかは人による
  • 国民年金は、退職日の翌日から14日以内に第1号被保険者への切り替え。扶養していた配偶者の手続きも要る
  • 独立1年目の住民税は、会社員だった年の所得で計算された額が届く
  • 退職後に事業を始めるなら、失業給付の受給期間の特例を、事業を始めた日などの翌日から2か月以内に申請できる

退職前に、会社にいるうちに確かめること

  • 国民健康保険料(市区町村で試算)と任意継続の保険料
  • 住民税の残りを、最後の給与や退職金から差し引くのか
  • 離職票が届く時期(特例の申請にも使う)
  • 基礎年金番号の分かる書類かマイナンバーカード

退職後の期限一覧

期限 手続き 窓口
14日以内 国民健康保険の加入の届出 住んでいる市区町村
退職日の翌日から14日以内 国民年金の第1号被保険者への切り替え 市区役所・町村役場(電子申請も可)
退職日の翌日から20日以内 任意継続の資格取得の申出 加入していた健康保険(協会けんぽなど)
事業を始めた日などの翌日から2か月以内 失業給付の受給期間の特例の申請 住居所を管轄するハローワーク
翌年6月ごろから 前年の所得で計算された住民税の納付 市区町村

健康保険:国保は14日以内、任意継続は20日以内

国民健康保険

国民健康保険法では、会社の健康保険の被保険者でなくなった日から、国民健康保険の資格を得ます(第7条)。届出は、世帯主が14日以内に市町村へ出すと定められています(施行規則第3条)。届出が遅れても、資格はさかのぼって始まっています。

保険料は世帯単位で、計算方法は市区町村の条例で決まります。倒産・解雇・雇い止め、正当な理由のある自己都合などで離職した人には、前年の給与所得を30/100として計算する軽減があり、期間は失業時から翌年度末までです(厚生労働省)。対象になるかは窓口で確認します。

任意継続(協会けんぽの場合)

  • 条件:退職日までに、継続して2か月以上加入していたこと
  • 期限:退職日の翌日から20日以内(20日目が土日・祝日なら翌営業日、郵送は20日以内に必着)
  • 期間:2年間。保険料を納付期限(毎月10日)までに納めなかったときや、やめる旨を申し出たときは、その時点で資格を失う
  • 保険料:退職時の標準報酬月額×都道府県の保険料率(子ども・子育て支援金率を含む)。2026年度は標準報酬月額32万円が上限

健康保険組合に入っていた人は、上限などが組合ごとに違うので、組合に確認してください。家族の健康保険の扶養に入れるかは、家族の勤務先の健康保険で確かめます。

国民年金:14日以内に第1号へ

日本年金機構によると、退職して国民年金の第1号被保険者になる人は、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所・町村役場へ「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を出します。基礎年金番号通知書などか、マイナンバーカードを持っていきます。

扶養していた配偶者がいる場合、配偶者も第3号被保険者ではなくなるため、第1号への手続きが必要です。

保険料は2026年度で月17,920円、納付期限は翌月末日です。まとめて前払いする前納には割引があります。

納付が難しいときは、退職による特例免除を申請できます。退職した人の前年所得をゼロとして、世帯主や配偶者の所得で審査します。離職票など退職を確認できる書類を添えて、マイナポータル・年金事務所・市区町村の窓口・郵送で申請します。

住民税:初年度は会社員の年の所得で届く

個人住民税は、前年1月1日〜12月31日の所得で計算され、その年の1月1日に住所がある市町村で課税されます(総務省)。2026年の途中で退職して独立すると、2027年度の住民税は2026年の給与と事業の所得で計算され、売上が少ない時期に会社員時代の水準の通知が届くことがあります。

退職した年の住民税の残りは、退職の時期で扱いが分かれます(地方税法第321条の5)。

退職した時期 残りの住民税
1月1日〜4月30日 5月31日までに支払われる給与・退職金が残額を超えれば、そこから一括で差し引かれる
6月1日〜12月31日 本人が申し出れば、給与・退職金から一括で差し引いてもらえる
差し引かれなかった分 普通徴収(市町村から届く納税通知書で自分で納める)に切り替わる(第321条の7)

普通徴収の納期は6月・8月・10月・1月中で、市町村の条例で決まります(第320条)。届いた通知書の期限をカレンダーに入れておきます。

失業給付:退職後に事業を始めるなら「受給期間の特例」

自営業の人は基本手当を受けられません(厚生労働省Q&A)。受給期間は、原則として離職した日の翌日から1年です。

2022年7月1日から、離職後に事業を始めた人は、事業を行っている期間を最大3年間、受給期間に算入しない特例を申請できます。休廃業したあとの再就職活動で、基本手当を受けられるようにする制度です。

  • 申請期限:「事業を開始した日」「事業に専念し始めた日」「事業の準備に専念し始めた日」のいずれかの翌日から2か月以内
  • 主な要件:事業の実施期間が30日以上、その事業で就業手当・再就職手当を受けていない、離職日の翌日以後に始めた事業であること(離職日以前に始めた事業に、離職後に専念する場合を含む)など
  • 書類:受給期間延長等申請書、離職票-2(受給資格の決定を受けていれば受給資格者証)、開業届の写しや登記事項証明書など事業を始めたことと日付が分かる書類
  • 提出:住居所を管轄するハローワークへ、来所か郵送

会社員のうちに開業届を出している場合の扱いも含め、開業日を決める前にハローワークで確かめてください。

一次資料(確認日:2026年10月29日)

  • e-Gov「国民健康保険法」第6条・第7条 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192
  • e-Gov「国民健康保険法施行規則」第3条 https://laws.e-gov.go.jp/law/333M50000100053
  • 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21517.html
  • 協会けんぽ「任意継続」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/voluntary_continuation/index.html
  • 協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/news/r07_dec/1259.html
  • 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140710-04.html
  • 日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140710-03.html
  • 日本年金機構「国民年金保険料」 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/hokenryo.html
  • 日本年金機構「退職された方への免除・納付猶予のご案内」 https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/taishoku_menjo.html
  • 総務省「個人住民税」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html
  • e-Gov「地方税法」第320条・第321条の5・第321条の7 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
  • ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
  • 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html
  • 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「雇用保険受給期間の特例」リーフレット https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000952085.pdf

これらに開業届・青色申告・インボイスの期限まで加えて期限順に並べた無料の独立準備チェックリストもお送りしています。退職予定日を書き込んで、抜けを確かめてください。

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