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インボイスの2割特例が終わったら? 2027年からの3割特例とWeb制作フリーランスの判断|簡易課税(第5種50%)・免税のままとの比較

インボイス登録をして、2割特例で消費税を申告してきた。その2割特例が2026年分で終わると聞いて、2027年からいくら納めることになるのかが気になっている。

この記事は、Web制作・保守を受ける個人のフリーランスに向けて、2027年分・2028年分の「3割特例」の中身と要件、簡易課税(Web制作の多くが当たる第5種)・一般課税との比べ方、登録せずに免税事業者のままでいる場合の取引先への影響を、国税庁と財務省の資料で整理したものです。

※この記事は2026年10月26日時点で一次資料を確認した一般的な情報で、税務助言ではありません。自分の場合の判断は、税務署や税理士に確認してください。

先に要点:いつ、何が使えるか

年分 インボイス登録をした個人 免税事業者のまま(取引先が控除できる割合)
2026年分 2割特例(2026年9月30日を含む課税期間まで) 2026年10月から70%
2027年分・2028年分 3割特例(個人事業者のみ) 2028年9月まで70%、2028年10月から50%
2029年分から 簡易課税か一般課税(現行の制度のまま) 2030年10月から30%、2031年10月以後は控除できない

出典:国税庁「令和8年度税制改正特集」。これらの改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律」は、2026年3月31日に成立・公布されました(財務省)。

3割特例とは

中身と対象

国税庁の説明では、3割特例は「インボイス発行事業者の登録を受けたことにより免税事業者から課税事業者となった個人事業者」が、2027年分・2028年分の消費税の確定申告で、納付税額を売上税額の3割にできる特例です。法人は使えません。財務省の解説では、事務負担への配慮がより必要と考えられる個人事業者に、2年に限って設けた経過措置とされています。

主な要件

  • 個人事業者であること
  • 基準期間(2027年分なら2025年、2028年分なら2026年)の課税売上高が1,000万円以下であること
  • インボイス発行事業者の登録を受けていること

国税庁のQ&A(問115-2)では、このほかに、特定期間の課税売上高などで免税事業者になれない課税期間や、課税期間を1か月・3か月に短縮している課税期間などは対象外としています。使うときは、確定申告書にその旨を付記することとされています(財務省「法律案要綱」)。

Web制作の売上で比べてみる

Web制作はおおむね第5種(みなし仕入率50%)

簡易課税では、事業区分ごとのみなし仕入率で仕入税額を計算します。国税庁の質疑応答事例では、日本標準産業分類のソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、インターネット附随サービス業、デザイン業は、いずれも第五種事業(50%)です。一方、広告制作業は第三種事業とされています。区分は取引ごとに判定するので、自分の売上がどこに当たるかは税務署で確認してください。

計算例(仮の数字)

1年の課税売上が税抜500万円、売上税額を50万円(10%で概算。実際の申告では国税と地方消費税に分けて計算します)とした場合です。

申告の方法 計算 納付額
2割特例(2026年分まで) 50万円 × 20% 10万円
3割特例(2027・2028年分) 50万円 × 30% 15万円
簡易課税(第5種) 50万円 − 50万円 × 50% 25万円
一般課税(課税仕入れが税込110万円の場合) 50万円 − 10万円 40万円

経費の少ないWeb制作では、2027・2028年分は3割特例の納付額がいちばん少なくなることが多いと考えられます。一般課税が有利になるのは、パソコンなどの大きな仕入れで仕入税額が多い年です。国税庁のQ&A(問117-3)でも、多額の設備投資がある場合、一般課税なら還付が生じうるが、簡易課税や3割特例では通常生じない点を踏まえて検討するよう案内しています。

2029年分からに備える:簡易課税の届出の特例

簡易課税を使うには、原則として、適用を受けたい課税期間が始まる前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出す必要があります。ただし、2割特例・3割特例を使った翌課税期間については、その課税期間の確定申告期限までに届出書を出せば、その課税期間から簡易課税を使えます(国税庁 タックスアンサー No.6505、令和8年度税制改正特集)。

たとえば2028年分に3割特例を使った人は、2029年分の確定申告期限までに届出書を出せば、2029年分から簡易課税にできます。簡易課税は、選んだら原則2年間は続ける必要があります。3割特例が終わる前の2028年中に、2029年からの方法を考え始めておくと慌てません。

免税事業者のままでいる場合

登録していない事業者から仕入れた場合、取引先が控除できる消費税相当額の割合は、2026年10月から70%、2028年10月から50%、2030年10月から30%に下がり、2031年10月以後はなくなります。一の相手からの仕入れが年1億円を超える部分は、この経過措置の対象外です(国税庁「令和8年度税制改正特集」)。

たとえば税込11,000円の保守料なら、消費税相当の1,000円のうち、取引先が控除できるのは700円、500円、300円と下がっていきます。月額の保守は毎月続くので、この差も毎月続きます。

ただし、影響を受けるのは一般課税で申告している取引先です。簡易課税や2割特例・3割特例は売上税額から納付額を計算するので、仕入先がインボイスを出すかどうかで納付額は変わりません。事業者ではない個人のお客様も、控除そのものをしません。取引先がどれに当たるかで、判断は変わります。

免税事業者のままでいることを見積もりの段階でどう伝えるかは「Web制作の見積書テンプレートと項目」にまとめています。

判断の手順

  1. 2025年・2026年の課税売上高を確かめる(1,000万円を超えると、その2年後は特例の対象外)
  2. 取引先を「一般課税の事業者」と「それ以外」に分ける。分からなければ、見積の段階で聞いてみる
  3. 登録している人は、2027・2028年分を3割特例と一般課税で比べる
  4. 2028年中に、2029年分からを簡易課税にするか一般課税にするかを決める
  5. 料金表・見積書に、税別か税込か、登録番号の有無を書いておく

一次資料(確認日:2026年10月26日)

  • 国税庁「令和8年度税制改正特集」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/index.htm
  • 国税庁 インボイスQ&A 問115-2 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/115-2.pdf
  • 国税庁 インボイスQ&A 問117-3 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/117-3.pdf
  • 国税庁 タックスアンサー No.6505「簡易課税制度」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm
  • 国税庁 質疑応答事例「日本標準産業分類からみた事業区分(G情報通信業ほか)」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/20/05.htm
  • 国税庁 質疑応答事例「日本標準産業分類からみた事業区分(L学術研究、専門・技術サービス業ほか)」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/20/07.htm
  • 財務省「所得税法等の一部を改正する法律案要綱」 https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/221diet/st080220y.pdf
  • 財務省「第221回国会における財務省関連法律」 https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/221diet/index.html
  • 財務省「特集 令和8年度 税制改正(国税)等について」 https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202604/202604c.html

インボイス登録の期限や、開業届・青色申告の手続きを期限つきでまとめた無料の独立準備チェックリストもあります。2027年からの申告方法を考える前に、自分の登録日と基準期間の売上を書き出すところから始めてください。

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