独立準備

青色申告の75万円控除はいつから?「優良な電子帳簿」の要件とデジタルシームレス保存|65万円・10万円との違いと届出書

青色申告の控除が75万円になると聞いた。いつから使えて、何をすればいいのか。今の65万円とは何が違うのか。

この記事は、Web制作で独立した人や、副業を事業として青色申告している人に向けて、2027年分から始まる75万円の青色申告特別控除の要件と、今から準備することを、国税庁と財務省の資料で整理したものです。届出書の名称はまだ確定していないので、その点も書いておきます。

※この記事は2026年10月26日時点で一次資料を確認した一般的な情報で、税務助言ではありません。自分の場合の判断は、税務署や税理士に確認してください。

先に要点

  • 75万円の控除は、2027年分(令和9年分)=2028年春の確定申告から
  • 75万円=65万円の要件(複式簿記+期限内のe-Tax)+「優良な電子帳簿の保存」か「デジタルシームレス保存」+届出書
  • 2027年分からは、紙で申告すると控除の上限は10万円

根拠は、2026年3月31日に成立・公布された「所得税法等の一部を改正する法律」です(財務省)。

2026年分までと、2027年分からの違い

控除額 2026年分まで 2027年分から
10万円 下の要件に当たらない青色申告者 同じ。ただし簡易な帳簿で、前々年分の事業所得の収入金額が1,000万円を超えると対象外
55万円 複式簿記で記帳し、期限内に申告(紙でも可) 区分がなくなる(紙で申告すると上限10万円)
65万円 55万円の要件+(e-Tax か 優良な電子帳簿の保存) 複式簿記+期限内に e-Tax で送信(必須)
75万円 ― 65万円の要件+(優良な電子帳簿の保存 か デジタルシームレス保存)+届出書

出典:国税庁 タックスアンサー No.2072、国税庁「75万円の青色申告特別控除を適用しましょう」「10万円控除要件が変わります」、財務省「法律案要綱」

土台になる65万円の要件

2027年分からの65万円は、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、確定申告書と青色申告決算書(貸借対照表を含む)のデータを、確定申告期限までにe-Taxで送信することが条件です。国税庁のリーフレットは、2026年分までは書面申告でも55万円が使えたが、2027年分以後は書面申告の上限が10万円になると案内しています。

あわせて、次の点に注意してください。

  • 確定申告書などをイメージデータで送信することはできない(No.2072)
  • 還付申告でも、確定申告期限までの提出が必要
  • 現金主義による所得計算の特例を受けている人は、65万円・75万円は使えない(10万円は可能)
  • 対象は事業所得(または不動産所得)。副業の売上を雑所得として申告している場合は使えない

「優良な電子帳簿」の要件

何を、いつから

対象は、その年分の事業の仕訳帳と総勘定元帳です。国税庁のリーフレットでは、課税期間の最初から、優良な電子帳簿の要件を満たして電子データで備え付け・保存することとされています。2027年分で使うなら、2027年1月1日からこの形で記帳している必要があります。

3つの要件

優良な電子帳簿とは、システムの説明書やモニター等の備え付けといった基本の要件に加えて、次の3つをすべて満たす電子帳簿です(国税庁リーフレット)。

  1. 訂正・削除・追加等の履歴が残ること
  2. 帳簿間で相互関連性があること
  3. 取引等の日付・金額・相手方で検索できること

自分で満たすというより、会計ソフトが対応しているかで決まる要件です。国税庁は、法的要件を満たした会計ソフトを探す際は「JIIMA認証情報リスト」を確認するよう案内しています。

なお、優良な電子帳簿を事前に届け出て保存している人は、その帳簿に関連する過少申告があった場合に、過少申告加算税が5%軽減される措置もあります(国税庁「電子帳簿・電子書類関係」)。

freee・マネーフォワード・弥生の料金の比べ方は「開業届と会計ソフトの選び方」にまとめています。

デジタルシームレス保存とは

もう一つの方法が、デジタルシームレス保存です。国税庁のリーフレットでは、電子取引データを、国税庁長官が定める基準に適合するシステムで送受信・保存し、税務職員から求められたときに確認できるようにしておくこととされています。

  • 基準に適合するシステム:デジタル庁が管理する仕様に従ったデジタルインボイス、または預貯金口座の決済データのどちらかを、要件に従って保存できるシステム
  • 一定の要件:改ざん防止の確保、記帳の適正性の確保、電子帳簿との関連性の確保

取引先とのデジタルインボイスのやり取りや、銀行口座のデータ連携が前提になります。どちらの方法が現実的かは、使っている会計ソフトや口座の対応しだいなので、2026年のうちに確かめておくと判断しやすくなります。

届出書:期限と名称

方法 届出書(国税庁リーフレットの表記) 期限
優良な電子帳簿の保存 「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る75万円の青色申告特別控除・過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書」または「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書」 適用を受ける年分の確定申告期限まで
デジタルシームレス保存 「電子取引の取引情報に係る電磁的記録に係る重加算税の加重措置の不適用の特例及び75万円の青色申告特別控除(個人事業者)の適用を受ける旨の届出書」 同上

優良な電子帳簿の届出書について、国税庁は「令和9年3月頃に届出書の名称を『65万』から『75万』に変更する予定」としています。現在の様式名は「…65万円の青色申告特別控除・過少申告加算税の特例の適用を受ける旨の届出書」(国税庁 A1-8)で、正式な名称はまだ確定していません。すでに優良な電子帳簿の保存で65万円を受けている人は、改めて提出する必要はないとされています。

2027年分に向けた準備

時期 やること
2026年中 会計ソフトが優良な電子帳簿に対応しているか(JIIMA認証)を確かめる。e-Taxで申告できる環境を整える
2027年1月1日から 仕訳帳・総勘定元帳を、優良な電子帳簿の要件を満たす形でつけ始める
2027年中 請求書・領収書などの電子データを、電子取引の保存要件どおりに保存する
2028年3月15日まで e-Taxで確定申告書と青色申告決算書を送信し、届出書を出す

これから開業する人は、青色申告の承認申請(1月16日以後の開業なら開業日から2か月以内)を出していることが前提です。

副業から開業する場合の開業届と承認申請のタイミングは「副業のWeb制作、開業届はいつ出す?」で整理しています。

一次資料(確認日:2026年10月26日)

  • 国税庁「【令和9年分確定申告から適用】75万円の青色申告特別控除を適用しましょう」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/0026007-003_02.pdf
  • 国税庁「10万円控除要件が変わります」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/0026004-012.pdf
  • 国税庁 タックスアンサー No.2072「青色申告特別控除」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
  • 国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
  • 国税庁「電子帳簿・電子書類関係」 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/02.htm
  • 財務省「所得税法等の一部を改正する法律案要綱」 https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/221diet/st080220y.pdf
  • 財務省「第221回国会における財務省関連法律」 https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/221diet/index.html

開業届・青色申告の承認申請・インボイス登録の期限を、退職前から順に並べた無料の独立準備チェックリストもお送りしています。2027年1月1日に間に合うよう、会計ソフトの見直しを予定に入れてください。

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