Webサイトを納品した。保守の話もしたいけれど、押し売りに見えないか、せっかくの関係が気まずくならないかが気になって、切り出せずにいる。
この記事は、WordPressサイトの制作を受けている個人・フリーランスに向けて、納品の後に保守を提案するタイミングと文面、断られたときの返し方、断られた後にやることをまとめたものです。文面は【 】を書き換えて、メールやメッセージにそのまま使える形にしています。
保守の話は「見積の段階」と「納品の後」の2回
いちばん自然なのは、最初の見積書に月額の保守を入れておくことです(「Web制作の見積書テンプレートと項目」で書き方を紹介しています)。それができなかった場合や、見積の段階では断られた場合に、納品の後にもう一度話す機会をつくります。
| タイミング | 理由 |
|---|---|
| 納品のメール | 公開後の運用を考えるきっかけになる。ここでは案内だけにとどめる |
| 公開から2〜4週間後 | 修正の依頼が落ち着き、自分で更新してみた感想が出てくるころ |
| WordPressやプラグインの更新が出たとき | 保守で何をするのかを、具体的な作業で説明できる |
| サーバー・ドメインの更新の前 | 契約の見直しのついでに、運用の話がしやすい |
提案の前に決めておくこと
提案してから考えるのではなく、先に決めておきます。聞かれたときにその場で答えられないと、相手は判断できません。
- 月額に含む作業と、月の作業時間の上限
- 含まない作業と、その料金(スポット対応の単価)
- 一次対応の期限と、連絡の手段
- 解約の予告期限
- 保守を受けない場合に渡すもの(ログイン情報、更新の手順メモ、バックアップの取り方)
料金の決め方は「WordPress保守の費用相場と料金表の作り方」、契約書に書くことは「WordPress保守契約書に入れる条項チェックリスト」にまとめています。
文面1:納品のメールに添える
納品のメールでは、提案ではなく「公開後に必要になること」を伝えます。
【相手の名前】様
【サイト名】の納品データと、管理画面のログイン情報をお送りします。
公開までお付き合いいただき、ありがとうございました。
公開後は、WordPress本体やプラグインの更新が定期的に出てきます。
更新の前にバックアップを取り、更新後に表示を確かめる、という流れが基本です。
手順のメモを添付しましたので、ご自身で進める場合はご参照ください。
月ごとの更新と確認をこちらでお引き受けすることもできます。
ご希望があれば、内容と料金をお送りします。
WordPress.orgの公式ドキュメントは、常に最新版へ更新すること、作業の前にバックアップを取ることを勧めています。この2つを手順として伝えるだけで、保守の中身が相手に伝わります。
文面2:公開から3週間後の確認
【相手の名前】様
公開から3週間ほど経ちましたが、その後いかがでしょうか。
お知らせの更新などで、分かりにくいところはありませんでしたか。
あわせて外から表示を確認したところ、【確認した内容:例)スマホ・パソコンとも表示に問題はありません】。
これからの更新や見守りについて、15分ほどお話しする時間をいただけるようでしたら、
月ごとにお引き受けする場合の内容をご説明します。
いまは必要ないということでしたら、このメールは流していただいて大丈夫です。
文面3:更新が出たとき
【相手の名前】様
【サイト名】で使っている【プラグイン名/WordPress本体】に更新が出ています。
更新はセキュリティのうえで大切ですが、まれに表示や動きが変わることがあるため、
バックアップを取ってから更新し、主要なページとお問い合わせフォームを確かめるのが安全です。
この作業を毎月まとめてお引き受けする場合は、月【○○】円(作業時間【○】時間まで)です。
今回だけのご依頼も【○○】円で承ります。
IPAの「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条」も、CMSなどに脆弱性が見つかったときはバージョンアップ等の対策が必要とし、更新で今まで動いていたものが動かなくなる場合があるため事前の検証が必要だとしています。更新することと、更新後に確かめることをセットで説明します。
断られたときの返し方
断られたら、引き下がることを前提にします。そのうえで、相手が困ったときに戻ってこられる道を1つだけ残します。
| 断られ方 | 返し方の方針 |
|---|---|
| 自分で更新できるので大丈夫 | 了解して、更新前のバックアップと確認の手順を渡す。困ったときのスポット料金を伝える |
| いまは予算がない | 値下げより範囲を減らす。年に数回の点検だけ、などの小さな形を一度だけ示す |
| 何かあったら連絡する | 何かあったときの連絡先・受付時間・スポット料金を、先に伝えておく |
| 高い | 月の作業内容と時間を分けて説明する。金額を下げるなら、作業も減らす |
| ほかに頼める人がいる | 引き継ぎに必要な情報(ログイン情報、使っているテーマとプラグイン、契約の名義)を整理して渡す |
返信の例です。
承知しました。ご検討いただきありがとうございます。
ご自身で更新される場合に備えて、更新前にバックアップを取る方法と、
更新後に確かめるページの一覧を添付しておきます。
もし更新のあとで表示がおかしくなった場合は、1回【○○】円から対応できますので、
その際はお気軽にご連絡ください。
断られた後にやること
- 管理画面のログイン情報を相手に渡し、自分の作業用アカウントを残すかどうかを確認する
- サーバーとドメインの契約者が相手本人になっているかを確認する
- 次に連絡するのは1回だけにする(サーバー・ドメインの更新の1か月前など)
- 断られた理由を記録しておく。料金表や提案の内容を見直す材料になる
やらないほうがよい提案
- 「放っておくと必ず乗っ取られます」のように不安をあおる
- 断られたあとに、何度も同じ提案を送る
- 納品物の不具合への対応(契約で決めた範囲)と、保守の提案を混ぜる
保守を断られても、サイトを作った人として相談しやすい関係が残れば、更新で困ったときや作り直しのときに、また声がかかります。
出典(確認日:2026年10月26日)
- WordPress.org「Updating WordPress」 https://wordpress.org/documentation/article/updating-wordpress/
- IPA「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条 〜セキュリティ対策のチェックポイント〜」 https://www.ipa.go.jp/security/vuln/websecurity/sitecheck.html
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保守の提案文と、相手別の声かけ、3段の保守メニューは、記事の下で紹介している保守契約スターターキットにまとめています。独立の前後でやる手続きも確認したい方は、無料の独立準備チェックリストを使ってください。