WordPressの保守契約書を紙で交わすことになった。収入印紙を貼るべきなのか、貼るならいくらなのかが分からない。調べると「200円」「4,000円」「不要」と答えが分かれている。
この記事は、個人・フリーランスでWordPress保守を受ける人に向けて、保守契約書と印紙税の関係を、国税庁のタックスアンサーと質疑応答事例をもとに整理したものです。請負と委任の違い、第2号文書と第7号文書の分かれ目、月額と契約期間から金額を出す方法、電子契約なら印紙税がかからない理由まで扱います。
※この記事は一般的な情報で、税務助言ではありません。印紙税は契約書の中身で判定されるため、実際の契約書が課税文書に当たるか、いくらになるかは、税務署や税理士に確認してください。
先に結論:答えが分かれるのは、契約書の中身が違うから
| 契約書の形 | 印紙税の扱い(考え方) |
|---|---|
| 電子契約、またはPDFをメールで送り合う | 印紙税はかからない |
| 紙で、月額と契約期間から金額が計算できる | 第2号文書(請負に関する契約書)。金額に応じて200円〜 |
| 紙で、期間の定めがなく金額が計算できない(事業者どうし) | 第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)。4,000円 |
| 相手の指揮監督のもとで労務を提供するだけの契約 | 委任に当たり、課税文書に当たらない |
自分の契約書がどれに当たるかを、順に見ていきます。
印紙税は「タイトル」ではなく「中身」で決まる
保守は「請負」に当たることが多い
印紙税がかかるのは、法律で決められた種類の文書(課税文書)だけです。そのうち保守契約に関係するのが、第2号文書の「請負に関する契約書」です。
国税庁のタックスアンサー No.7102 では、請負を、一方がある仕事の完成を約束し、相手方がこれに報酬を支払うことを約束する契約と説明し、建設工事のような形のあるものだけでなく、警備・機械保守・清掃などの役務の提供も含むとしています。また、質疑応答事例「エレベーターの保守契約書」では、毎月一定の料金で継続して保守を行う契約を請負契約に当たるとしています。
委任なら課税文書に当たらない
一方、質疑応答事例「プログラムの設計・開発契約書」では、プログラムの作成は請負に当たるとしたうえで、相手の指揮監督のもとで労務だけを提供するような支援業務の契約は委任に当たり、それだけを定めた契約書は課税文書に当たらないとしています。
WordPress保守はどちらか
国税庁の資料に、WordPress保守そのものの事例は見当たりませんでした。更新や修正をこちらの判断で行い、その結果に対して月額を受け取る形なら、上の保守の事例に近く、請負として扱われる可能性が高いと考えられます。迷う場合は、契約書の案を持って税務署に確認してください。
第2号文書:月額×契約期間で金額を出す
金額の出し方
質疑応答事例「エレベーターの保守契約書」では、月額料金と契約期間が書かれていれば、「月額料金×契約期間の月数」で出した金額を記載金額とし、第2号文書として扱うとしています。例として、月額10万円・契約期間1年なら記載金額は120万円です。
同じ事例で、「申し出がない限り延長する」といった自動更新の定めは、契約期間の月数に含めないとされています。
税額
第2号文書の税額は、記載金額によって決まります(タックスアンサー No.7102・No.7140)。保守契約で関係しそうな範囲を抜き出します。
| 記載金額 | 税額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円超200万円以下 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 1,000円 |
| 契約金額の記載がない | 200円 |
消費税を分けて書くと、税抜の金額で判定される
タックスアンサー No.7124 では、消費税の課税事業者が、消費税額を区分して記載するか、税込と税抜の両方を記載した場合、消費税額は記載金額に含めないとしています。「(税込)」とだけ書いた場合は、税込の金額で判定されます。免税事業者が消費税相当額を分けて書いても、その額は記載金額に含まれます。
第7号文書:期間の定めがないと4,000円になることがある
タックスアンサー No.7104 では、第7号文書を、営業者どうしで請負などの2回以上の取引を継続して行うための契約書のうち、単価や対価の支払方法などを1つ以上定めたものとしています。税額は1通4,000円で、契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは除かれます。
事業者どうしの保守契約は、第7号文書にも当たることがあります。質疑応答事例「第7号文書と他の号に該当する文書の所属の決定」では、両方に当たる場合、契約金額の記載がある(計算できる)ものは第2号文書、ないものは第7号文書になるとし、月額だけで契約期間の記載がない例を第7号文書としています。
3つの書き方で、印紙税がどう変わるか
事業者のお客様との保守契約に当てはめた例です(月額は税抜18,000円、消費税額は分けて記載)。実際の判定は税務署で確認してください。
| 契約期間の書き方 | 記載金額 | 当たる文書 | 税額 |
|---|---|---|---|
| 1年間(自動更新あり) | 18,000円×12か月=216,000円 | 第2号文書 | 200円 |
| 1か月(自動更新あり) | 18,000円×1か月=18,000円 | 第2号文書 | 200円 |
| 期間の定めなし(解約するまで続く) | 計算できない | 第7号文書 | 4,000円 |
月額9,000円で契約期間1か月なら記載金額は1万円未満ですが、タックスアンサー No.7140 には、第2号文書と第3号〜第17号文書の両方に当たり第2号文書に決まるものは、1万円未満でも非課税にならないとの注意書きがあります。事業者どうしの保守契約は第7号文書にも当たることがあるため、非課税と決めつけず確認してください。
電子契約なら、印紙税はかからない
質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」では、印紙税の対象は文書であり、電磁的記録は文書に含まれないため、印紙税は課されないとしています。タックスアンサー No.7120 も、ファックスや電子メールで送った場合、送付先で印刷した文書は写しと同じで課税対象にならないとしています。
電子契約サービスやPDFのメール送付で締結すれば、印紙税はかかりません。ただし、印刷して署名や押印をした紙を相手に渡すと、その紙は課税文書になりえます。
紙で交わすときの注意
- 2通作って1通ずつ持つ場合、契約の成立を証明する目的の文書はそれぞれ課税対象になる(No.7120)
- 印紙を貼ったら、印章か署名で消印する(No.7129)
- 貼り忘れると、納めなかった印紙税の3倍の過怠税がかかる。調査の前に自分から申し出た場合は1.1倍に軽くなる(No.7131)
出典(確認日:2026年10月26日)
- 国税庁 タックスアンサー No.7102「請負に関する契約書」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.7104「継続的取引の基本となる契約書」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7104.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.7140「印紙税額の一覧表(その1)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.7120「契約書の写し、副本、謄本等」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7120.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.7124「消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7124.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.7129「印紙税の納付方法」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7129.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.7131「印紙税を納めなかったとき」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7131.htm
- 国税庁 質疑応答事例「エレベーターの保守契約書」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/23.htm
- 国税庁 質疑応答事例「第7号文書と他の号に該当する文書の所属の決定」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/15/11.htm
- 国税庁 質疑応答事例「プログラムの設計・開発契約書」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/24.htm
- 国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/02/10.htm
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