保守の実務

保守の月次報告書の書き方|解約されにくい報告の型とテンプレート(何も起きなかった月の文例つき)

WordPressの保守を月額で受けている。毎月の作業はしているのに、お客様にどう伝えればいいか分からず、報告を出していない、または毎月同じ一文で済ませている。

この記事は、保守を受けている個人・フリーランスに向けて、月次報告書の書き方をまとめたものです。書く項目、プラン別の分量、メール本文にそのまま貼れるテンプレート、何も起きなかった月とトラブルがあった月の文例、AIで下書きするときの注意まで扱います。

保守の月次報告書がないと、解約が近づく

保守は、毎月目に見える成果物があるわけではありません。更新もバックアップの確認も、うまくいっているときほど、お客様からは何も起きていないように見えます。

保守が解約される大きな理由は、「払っているけれど、何をしてもらっているか分からない」ことだと考えています。月次報告書は、裏でやっている作業を見える形にして、この状態を防ぐためのものです。立派な資料である必要はありません。毎月、決まった形で届くことのほうが大事です。

月次報告書に書く5つの項目

  1. 今月のまとめ(3行):いちばん伝えたいことを先に書く
  2. 定期作業:更新した数、バックアップを確認した日、表示を確かめたページ
  3. 個別の対応:頼まれて行った修正や投稿
  4. 作業時間の使い方:プランの上限に対して、今月どれだけ使ったか
  5. 気づいたことと来月の予定:提案は1つまで。判断はお客様に任せる

4の作業時間は、見落とされがちですが効く項目です。「修正の枠2時間のうち1時間20分を使いました」と毎月書いておくと、枠を超えそうなときに前もって相談でき、上のプランへの切り替えを提案するときの根拠にもなります。

プラン別:報告の分量を変える

すべてのお客様に同じ分量の報告を出す必要はありません。プランの中身に合わせます。

プラン 報告の形 分量の目安
ライト メール本文で、定期作業と気づいたこと 3〜5行
スタンダード メール本文で、5つの項目すべて 画面1枚分
プロ 5つの項目に、アクセスの数字と改善の提案を添える PDFなどで1〜2ページ

料金表の各プランに「月次報告:なし/簡易(メール)/数字と提案つき」と書いておくと、お客様との期待がずれません。ライトで報告を約束していない場合でも、3行の報告を出すと、続けてもらいやすくなります。

プランごとの中身と金額の決め方は「WordPress保守の費用相場と料金表の作り方」にまとめています。

月次報告書のテンプレート(メール本文に貼れる形)

【 】の部分を書き換えて使ってください。

件名:【サイト名】 月次保守のご報告(【年】年【月】月分)

【お客様の名前】様

いつもお世話になっております。【自分の名前】です。
【月】月の保守作業についてご報告します。

■ 今月のまとめ
・サイトは今月も止まることなく表示されていました。
・WordPress本体とプラグインの更新を行い、表示に問題がないことを確認しました。
・【個別の対応があれば1行で】

■ 定期作業
・更新:WordPress本体【有・無】、プラグイン【○】件、テーマ【有・無】
・バックアップの確認:【日付】(直近【○】日分を保管しています)
・表示の確認:トップ、【お問い合わせ】、【その他の主なページ】(パソコン・スマホ)

■ 個別の対応
・【例:営業時間の表記を変更しました(【日付】ご依頼分)】

■ 作業時間
・修正の枠【○】時間のうち、【○】時間【○】分を使いました。

■ 気づいたこと・来月の予定
・【例:お知らせの最終更新が【月】です。季節のお知らせを出すと、営業していることが伝わりやすくなります。ご希望があればご相談ください。】
・来月も【第○土曜】に定期作業を行います。

ご不明な点があれば、このメールにご返信ください。
【自分の名前】

何も起きなかった月の書き方

何も起きなかった月こそ、報告を出します。「何もありませんでした」と一行で済ませず、何をしたうえで何も起きなかったのかを書きます。

今月も、サイトが表示されなくなった時間はありませんでした。
プラグインを【○】件更新し、更新後にトップページとお問い合わせページの表示を、
パソコンとスマホで確認しています。バックアップは【日付】に正常に取れていることを確認しました。

「何も起きなかった」は、作業をした結果です。そのことが伝われば、報告は短くてかまいません。

トラブルがあった月の書き方

不具合があった月は、次の順に書きます。

  1. 何が起きたか(日時と症状)
  2. どう対応したか(一次対応と復旧の時刻)
  3. 原因(分かっている範囲で。分からないことは分からないと書く)
  4. 再発を防ぐために何をするか
  5. 費用の扱い(契約で決めた原因の区分に沿って、無償か別途か)

文例です。【 】と内容は、実際の出来事に合わせて書き換えてください。

【日付】の夜、プラグインの更新後にお問い合わせフォームが表示されなくなりました。
翌朝【時刻】にご連絡をいただき、【時刻】に更新前の状態に戻して表示を復旧しました。
原因は、更新したプラグインと、フォームのプラグインの相性によるものでした。
今後は、このプラグインの更新を一度テスト用の環境で確かめてから行います。
今回は保守作業による不具合のため、費用はいただきません。

自分の作業が原因なら、そのことをはっきり書きます。隠さずに書いた報告のほうが、長く信頼されます。

専門用語は、お客様の言葉に言い換える

つい書いてしまう 言い換えの例
PHPのバージョンを更新 サーバーで動いている部品を新しい版に切り替え、安全に動く状態を保ちました
SSL証明書の期限を確認 アドレス欄の鍵マーク(通信の暗号化)の期限が切れていないことを確認しました
不正ログインの試行を検知 管理画面に外から入ろうとする動きがあり、ブロックされていることを確認しました
キャッシュをクリア 古い表示が残らないように、保存されていた表示を入れ替えました

数字を書くときも、「訪問が10%減りました」で止めず、「例年この時期は減る傾向があり、来月の様子を見ます」のように、その数字から何が言えるかを1行添えます。

送るタイミングと、続けるコツ

  • 毎月決まった時期に送る(例:翌月の5営業日以内)。時期が揃っているだけで、きちんと見てもらえている印象になります
  • 返事を求めない。読むだけで済む形にします
  • 作業をした日にメモを残す。月末にまとめて思い出そうとすると、報告が薄くなります
  • 2〜3回目の報告に「ありがとう」と返事が来たら、紹介をお願いするよいタイミングです

AIで報告書を速く作るときの注意

作業メモを渡して、AIに報告書の下書きを作らせると、毎月の作業はかなり速くなります。言い換えの候補を出してもらうのにも向いています。ただし、次の3つは必ず守ってください。

  • 作業の内容、件数、日付が実際と合っているかを、送る前に自分で照合する
  • パスワードや、お問い合わせの内容などの個人情報をAIに貼らない
  • 実際より良く見える書き方になっていないかを読み直す

あわせて読みたい:既存のお客様に紹介を頼む文面と、頼むタイミング

保守の月次報告の雛形と、紹介を頼む文面は、記事の下で紹介している保守契約スターターキットに入っています。独立の前後でやる手続きを確認したい方は、無料の独立準備チェックリストもあわせて使ってください。

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